
額田王
作者:額田王

やすみしし 我が大君の 朝には 取り撫でたまひ 夕には 寄り立たしし み執らしの 梓の弓の 中弭の 音すなり 朝猟に 今立たすらし 夕猟に 今立たすらし み執らしの 梓の弓の 中弭の 音すなり
寿歌
現代語訳
国を安らかに治めておられる我が大君は、朝には弓を手に取り撫で、夕には弓を携えてお立ちになる。その大君がいつもお持ちになる梓の弓の中弭から、今まさに音が響いてくる。これは、朝の狩りにお出かけになったのだろうか、あるいは夕の狩りに向かわれたのだろうか。梓の弓の中弭の音が、威厳ある大君の狩りの始まりを告げているのである。
シチュエーション
この歌は万葉集に収められた額田王の作品で、天皇が朝夕に狩りに出かける様子を、弓の音を聞きながら詠んだ歌である。『やすみしし我が大君』とは、国を安らかに治める偉大な天皇を敬って呼ぶ言葉で、朝には弓を手に取り撫で、夕には寄り立って狩りに向かわれるという日々の姿が描かれている。梓の弓の中弭から響く音が聞こえてくることから、今まさに朝の狩りにお出かけになったのだろう、あるいは夕の狩りに向かわれたのだろうと推し量っている。弓の音を通して、大君の威厳と活力ある姿を讃える歌となっている。
原文
八隅知之 我大王乃 朝庭 取撫賜 夕庭 伊縁立之 御執乃 梓弓之 奈加弭乃 音為奈利 朝猟尓 今立須良思 暮猟尓 今他田渚良之 御執<能> <梓>弓之 奈加弭乃 音為奈里
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